PDA(無痛分娩)が間に合わない理由

最終更新: 6月5日

ドイツで出産する日本人の方から本当によく聞かれるのが、「PDA(無痛分娩)が希望ですが、間に合わないこともあると聞きます。確実に無痛分娩をするには、どのタイミングで伝えればいいですか?」という質問です。

今回は、PDAがどのような場合に間に合わなくなるのかお伝えします。


PDA(無痛分娩の代名詞として使用されていますが、正式には硬膜外麻酔という意味)について問い合わせも多いのですが、分娩経過は個人差が大きく一概に言えないことばかりなので、直接伝えることができないホームページやブログでの明言は避けてきました。ただ、最近はPDAを受けられなかったことがネガティブに広まってしまっているように感じたので、今回この記事を書こうと決意しました。


まず大前提としてドイツと日本でよく知られる無痛分娩の経過では、大きな違いがあります。

日本では、まず無痛分娩に対応している病院を選び、日付を決めて計画入院し、先に麻酔の管を準備してから分娩誘発が行われるのが一般的です。それに対してドイツでは、分娩施設のある病院は昼夜休日問わずPDA対応できるのが当たり前で、自然に陣痛が始まり分娩が進行していく中で必要であればPDAで痛みの緩和を開始します。

PDAは麻酔なので麻酔科医の管理下で行われます。医療処置でリスクも伴うため、麻酔科医からPDAの説明を受け同意書へのサインが必須です。実際にPDAを入れるときには、手術のような滅菌処置が行える準備や、陣痛と陣痛の合間に背中を丸くした姿勢で動かずにいることが必要になります。とても繊細で高度な技術を用いる処置なので時間がかかることもあります。

これらを踏まえた上で、PDAが間に合わなくなる主な理由です。

1. 分娩の進行が速かった

この理由が最も多いです。とくに二人目以降の方は、一人目の分娩体験から『絶対にPDA!!』と希望する方も多いのですが、大抵は一人目のときよりも分娩進行が速くなるので間に合わなくなることも多いです。また、PDAは麻酔の処置で、最新の採血データや様々な物品の準備が必要になるので、それらを待つよりも出産の方が早くなる場合があります。


2. 麻酔科医を待たなければならなかった

PDAを入れるのは麻酔科医です。病院によって異なりますが、夜間や休日は救急患者の手術や術後管理も担当する必要があります。また、他の分娩中の方のPDAの対応をしていることもあります。そうした対応が行われている際にはどうしても待たねばならず、その間に分娩が進行してPDAが間に合わなくなることがあります。


3. PDAを入れない方が速く進むと判断された

陣痛中に呼吸で上手に痛みを耐えることができ分娩進行も順調であるときに、PDAを使用すると分娩経過を妨げてしまうことがあります。いい陣痛が来ていて分娩の進行がスムーズの時は、その波に乗って産んでしまった方が楽だし、赤ちゃんも早く出て来てくれます。陣痛の痛みは、赤ちゃんが生まれたら終わります。助産師たちは産婦さんたちの状況を見ながら判断しているので、もしかしたらそうした判断でPDAが使われなかったのかもしれません。


どの理由も順調なお産の証なので、それは素晴らしいことだと思いませんか?

助産師や産婦人科医は、産婦さんたちの希望を聞きながら、その時の状況とお産の進行でベストな処置や対応を判断しています。「絶対PDAを使って痛みを感じないで産みたい!」と思われていると、PDAを受けられなかった時の精神的なダメージが大きく、いくら順調な出産でもネガティブな経験になってしまうかもしれません。PDAはあくまで疼痛緩和の一つの選択肢だと思っていてくださいね。疼痛緩和に関しては、PDA以外にもたくさんの選択肢があります。

PDAを含めた出産時の疼痛緩和については、出産準備コースなどで直接お話しできる機会に時間をかけて説明したいと思っていますので、こちらの準備が整った際にはぜひ受講していただきたいです。



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