これから赤ちゃんを迎える家族にとって、母乳育児は大きなテーマです。
今回は母乳育児に向けて、ドイツで提供されているクラスと母乳育児専門家の紹介です。
妊婦のみなさんは、赤ちゃんが生まれたらぜひ母乳で育てたい!と思われている方も多いと思います。と同時に、母乳育児において『乳首が切れて痛い』『赤ちゃんがよく泣いて周りから母乳が足りないのではないかと言われる』などのネガティブな経験談をきくことも多いと思います。場合によっては『ミルクの方が赤ちゃんが寝てくれると聞くし、パパにも授乳してもらえる』といった考えから、初めから混合授乳や完全人工乳での育児を希望される方もいるかもしれません。
母乳育児における恩恵は赤ちゃんだけではなく、ママはもちろん家族・社会・未来にとって大きく、計り知れません。ですので、私は母乳育児ができる状態・環境であればぜひ母乳育児に取り組んでいただきたいと思っています。そして、これから赤ちゃんを迎えるみなさんにオススメするのが、出産前に母乳育児についての正しい知識を持つということです。
残念ながら、母乳は出産したらその日から勝手に出るようになるものではありません。そして無意識にやってしまうことが、実は母乳育児を阻害してしまうこともあります(例えば泣いている赤ちゃんにおしゃぶりを与えることなど)。母乳分泌を促進していくこと、母乳育児を阻害しないことが何かわかっていれば、赤ちゃんが生まれた後のストレスが大きく軽減されます。
ドイツでは母乳育児を推奨するために、妊婦さんを対象にSitillvorbereitung(母乳育児準備)のクラスがあり母乳育児に特化して知識を深め準備ができるようになっています。例えば、EVK DüsseldorfのElternschuleが提供している教室(Stillvorbereitungsabend)の内容は以下のようになっています。
・母乳育児を軌道に乗せるための重要な最初の働きかけ、基礎知識
・お産直後から出産後1日目、2日目の授乳の重要性
・うまく授乳ができないときの対処法、母乳分泌を促進するための方法
・乳房マッサージの演習
・乳頭保護器について(メリット/デメリット)
・おしゃぶりが母乳育児に与える影響
・限界を超えて無理をしないこと、自分自身のペースで身体の変化を認識できるようにする
・妊娠性糖尿病と母乳育児の関連
待機リストができる人気のコースで、ドイツ語はStillberaterinといって母乳育児の国際資格:ラクテーションコンサルタントを持っている方が担当しています。
私の働くEVKの同僚で産後病棟で勤務しているFrau Ute Meyerは、ドイツで育児をする日本人ママたちが授乳に関していつも同じような悩みや問題を抱えることに気づき、中川産婦人科と連携して2021年に日本人向けのコースを開催してくれたStillberaterinです。EVKの勤務以外にも個別で母乳育児支援を行なっているので、授乳中でトラブルを抱えて相談が必要な方の強い味方になってくれます。英語も話されますし、ジェスチャーを交えた説明が本当に上手です。相談・支援が必要な方は彼女のホームページから連絡をお取りください。(時間や料金も直接お問い合わせください。)
また、2021年8月からは中川産婦人科での母乳外来も始まり、徐々に母乳育児支援の体制が整ってきています。(母乳外来に関するブログはこちら)
不安な方はひとりで抱え込まず、専門家に頼りましょう。
みなさんの母乳育児が素晴らしい経験になりますように♡
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