水中出産 (Wassergeburt)について

更新日:9月7日

以前のブログでもあげたEVK Düsseldorfの紹介動画をご覧になった方の中には、分娩室にある浴槽に目が行った方も多いのではないでしょうか。実はこの浴槽、水中出産用に作られた特別なものなのです。今回は、水中出産について説明します。


ドイツ語でKreißsaal (分娩室) と検索して出てくる写真には、よく浴槽が写っています。それほどドイツでは水中出産が知られているのですが、日本人の私たちにはあまり馴染みがないですよね。(日本語で分娩室と検索して出てくる写真には浴槽はほとんど載っていないです。)

水中出産とは、その名の通り水の中でお産をする(赤ちゃんが生まれる)ことです。水の中といっても浴槽にはぬるめのお風呂くらいの温度のお湯が準備されています。

水中出産のメリットとしては、血行促進や水圧により、分娩促進・リラックス・痛みの緩和などがあげられます。浮力があるので姿勢を変えるのもとても楽です。分娩時の隠部の裂傷も水中分娩の場合には小さくなると言われています。赤ちゃんにとっても、胎内と外の世界に大きな違いがないため、出生時のストレスが少ないようです。

大きなデメリットとしては、緊急事の対応が遅れがちになることです。例えば胎内の赤ちゃんの心拍異常で緊急帝王切開や吸引分娩が必要となった場合、浴槽に入ったままではそれが行えないため急いで外に出る必要がありますがどうしても時間がかかってしまいます。また、背中から硬膜外に細いカテーテルを入れるPDA(無痛分娩)は、水中では使用できません。浴槽のお湯は分娩用に特別なフィルターを通したものですが、適切な管理が行われないと子宮内感染のリスクも少し上がってしまうようです。

水中分娩で一番気になることは、生まれてきた赤ちゃんが溺れてしまうのでは?ということですよね。お腹の中で羊水のなかにぷかぷか浮いている赤ちゃんは、へその緒と胎盤を通してママから酸素をもらっています。生まれて初めての呼吸は、顔(特に鼻や口のあたり)に空気が触れたことによって引き起こされます。つまり、生まれてもまだ水中にいる赤ちゃんは肺呼吸を開始することなくへその緒から酸素をもらいながら過ごすことができるのです。さらに新生児には、顔が水に触れている限り呼吸を止めるというダイビング反射も備わっているので、基本的には水中出産での赤ちゃんの呼吸は心配しなくて大丈夫です。

ただ、こうした反射は例えば早産やストレスのかかった赤ちゃんでは阻害されやすいので、希望しても水中出産をすることができない場合もあります。基本的には、良好な妊娠経過であり合併症やリスクがなく赤ちゃんが元気であることなど、すべてが正常であることが条件となります。そして実際の分娩中は、水中でも持続的に胎児心拍のモニタリングを行います。水中出産に興味のある方は、出産予定の分娩室が水中出産が可能か事前に調べておくといいと思います。そしてそれが可能な場合は、水中出産の希望を伝えておくとしっかり対応してもらえます。

水中で出産しなくても、陣痛中にお湯につかることで痛みが緩和されて陣痛を乗り越えやすくなることも多いです。EVK Düsseldorfでは水中出産用ではなく、陣痛中にリラックスして過ごすための浴槽も用意されているので、機会があればぜひお試しください☆




参考文献:Hebammenkunde P328-331, Hippokrates Verlag・Stuttgart.

参考サイト:https://www.ardo.de/blog/vor-und-nachteile-der-wassergeburt.html

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